ある程度成長したECサイトの次の一手とは?
1.WEBメディアを買収する
それはWEBメディアを買収することです。しかし、WEBメディアなら何でも良いかと言うとそうではありません。自社商品を購入する前段階に訪問するようなメディアである必要があります。
2.データ連携で潜在ユーザや新商品開発の種を発見
例えば、スキンケア商品を販売している場合、肌の悩みに関するブログやサイトが対象となります。こうしたブログやサイトの訪問データとECサイトの購入データを連携させることで、潜在ユーザや新商品開発の種を発見することが可能になります。このような潜在ユーザ獲得や新商品の開発は将来のさらなる成長を実現するための大きな基礎になります。
3.データを独占して誰よりも先に潜在ユーザにアプローチ
また、単純にデータを連携するだけでなく、買収をお勧めするのも理由があります。それは、競合が同様のデータを取得した際に、競争優位性が相対的に低下するためです。もし、データを自社で囲い込みできなければ、競合に先を越されて潜在ユーザを特定・確保されてしまう可能性があります。一方、買収により自社でメディアを保有すれば、データを独占できるだけでなく、面の確保や記事の投稿も自由にできます。
4.データ連携ビジネスでビジネスをスケールさせる
さらに、自社が販売する商品に関係ない記事については、そのデータを他社に販売することでデータ連携ビジネスを新たに展開することもできます。ちなみに、広告は面に限りがあるのでスケールさせるのが難しいですが、データの連携には限度がないため販売先があるほどビジネスをスケールさせることができます。もし、WEBサイトで広告収入だけに頼っているものがあれば、データ連携ビジネスにより数倍に売上を伸ばすことも難しくないと考えられます。現状ではデータを積極的に販売するWEBメディアは多くないですが、今後は間違いなく増えると予想されます。そうなるとメディアの売り上げも上がり評価価値も上がってしまうので、この時期に買収することをお勧めします。
5.今後は技術だけでなく法令を特に注視する
最後に、メディアの訪問データとECサイトの購買データの連携については、改正個人情報保護法により扱いが厳しくなる見通しです。例えば、訪問データと購買データを連携する場合、ECサイトが保有する個人情報と紐づくので、訪問データを取得する際にはユーザに利用目的を明示した上で許諾が必要となります。ただ、これはあくまで法令をディフェンシブに解釈した場合なので、正確にはガイダンスを待つ必要があります。現在、データ連携の主なプレイヤーであるDMP各社が保有するほとんどのデータは、ユーザに対して利用目的を明示して許諾を得たものではありません。そのため、よりディフェンシブな解釈でガイダンスが発表された場合、DMP各社のデータが使えなくなる可能性もあります。そのため、データ連携を進める際は、各データの取得とその利用が法令に反していないか注視することが必要です。